フランス軍事省は2019年11月22日(現地時間)、11月18日の大臣投資委員会でパルリ軍事大臣が、新しい電子情報収集機計画「アルカンジェ(ARCHANGE)」計画の開始を決定したと発表しました。現在運用中の電子情報収集機を新型機で置き換えます。

 アルカンジェ計画は、フランスが進める2019年~2025年の軍事力整備計画に基づいたもの。現在フランス空軍で運用されている電子情報収集機、C-160“ガブリエル”を新型機で更新するものです。

 計画名の「アルカンジェ(ARCHANGE)」とは、フランス語で「大天使」のこと。一応「次世代電子情報収集機(Avions de Renseignement à CHArge utile de Nouvelle GEnération)」の頭文字とされていますが、現在の電子情報収集機C-160が、旧約聖書に登場する大天使ガブリエル(聖母マリアへの受胎告知など神の言葉を伝える天使のため、通信事業の守護天使とされる。また最後の審判を告げるラッパを吹く存在でもある)の名を冠していることから、それに合わせた名称となっています。

 ガブリエルはC-160トランザール輸送機をベースにしたものですが、アルカンジェ計画でベースとなるのは、ビジネスジェットのファルコン8X。これにタレスが開発したセンサーなど各種の電子情報収集機材を搭載します。

 傍受した電波などの電子情報は、AIによって自動的に分析されます。これにより、効率的な情報の活用が図られることになるとのこと。フランスではこの能力を「統合電子戦能力(Capacité universelle de guerre électronique=CUGE)」と呼称しています。

 計画では、電子情報収集仕様のファルコン8Xを3機導入し、従来のC-160ガブリエル2機を置き換えます。まだこのファルコン8X電子情報収集機の名称は決まっていませんが、ノルマンディのエヴルー空軍基地で運用される予定です。

<出典・引用>
フランス軍事省 プレスリリース
Image:フランス軍事省

(咲村珠樹)