F-35統合計画事務局(Joint Program Office)とロッキード・マーティンは各国向けF-35各型の12~14ロット分、計478機の調達を約340億ドル(約3兆6718億円)で行うことに合意したと2019年10月29日(現地時間)に発表しました。これは前回発注比で平均12.7%安い価格です。

 生産開始当初、ユニットコストが高すぎると問題になったF-35。生産数が増えるに従って、サプライチェーンや製造ラインの効率化が進み、発注方法もアメリカ向けと海外向けを一括で行う方式に改めたことにより、発注ロットごとにコストが低減されてきました。


 今回のロット12~14の平均調達コストを前回のロット11と比較すると、通常離着陸型のF-35Aで12.8%減。垂直離着陸型のF-35Bで12.3%減、空母運用型のF-35Cで13.2%減となっています。全体平均では12.7%の減となりました。


 F-35統合計画事務局の責任者、エリック・フリック少将(アメリカ空軍)は、今回の3ロット一括発注について「コストを大幅に削減するというのが、F-35計画の成功を占う要です。今回の3ロット一括発注でロッキード・マーティンと合意できたのは、非常に大きなランドマークとなりました。全体平均で12.7%の調達コスト削減となり、特にF-35Aのロット13では、ついに8000万ドルの大台を割り込む7920万ドルを達成しています。これは当初より1ロット分早い目標達成となりました。総額340億ドルにおよぶ今回の合意内容はF-35の事業において、まさに歴史的なものです」と、目標コスト達成に喜びを隠せない様子。


 このような一括発注のプロセスは、メーカー側としても生産計画を立てやすく、より効率的な経営につながります。ロッキード・マーティンのF-35プログラム・マネージャを務めるグレッグ・ウルマー副社長は「このスマート発注計画、政府と企業との強力なパートナーシップ、そして冷静なる品質管理とコスト削減によって、F-35の事業は、第5世代戦闘機の調達コストを第4世代機と同等、またはそれ以下にまで低減することができました。F-35Aのロット13が8000万ドルを割り込んだのは、我々が想定していたより1年も早い目標達成です」と今回の発注についてコメントしています。


 今回発注されるロット12~14分478機の内訳は、アメリカ軍向けが291機、イタリアやイギリスなどF-35計画パートナー国向けが127機、日本など有償軍事供与(FMS)対象国向けが60機となっています。

<出典・引用>
ロッキード・マーティン プレスリリース
Image:Lockheed Martin/USAF/U.S.Navy

(咲村珠樹)