ロシアのソユーズ宇宙船に搭乗する宇宙飛行士などを運ぶ、ロスコスモス(ロシア連邦宇宙局)ユーリィ・A・ガガーリン宇宙飛行士訓練センターの特別機が、新しくTu-204-300に更新されました。その第1号機「セルゲイ・コロリョフ」号(登録記号:RA-64045)が、2019年3月29日(現地時間)にメーカーから到着。宇宙飛行士訓練センターへの移管式典が行われました。

 これまで、ユーリィ・A・ガガーリン宇宙飛行士訓練センターで宇宙飛行士の移動に使われていたのは、Tu-154でした。訓練センターのある「星の町」と、ロケット打ち上げが行われるボストチヌイ宇宙基地や、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地への往復にはこのTu-154が使用され、JAXAの宇宙飛行士がソユーズで国際宇宙ステーションに出発する際に、ニュース映像などで目にした機会があったかと思います。しかし老朽化が進み、2012年から後継機の導入計画が始まっていました。


 新たに導入されたTu-204-300は、1989年に原型機が初飛行したTu-204の胴体を約6m短縮し、航続距離を延長した型。エコノミークラスのみだと156席(シートピッチ32インチの場合)、ビジネスクラスとエコノミークラスの2クラス仕様では142席(シートピッチがビジネスクラス46インチ、エコノミークラス32インチの場合)という機体規模で、客室幅はTu-154とほぼ同じ3.57mとなっています。航続距離はTu-154の1.5倍になる約9000km。ウイングレットと垂直尾翼には星空が描かれています。

 機内は通常の旅客機と違い、いわゆるVIP仕様に準じた作りになっています。実際にこの機体を所有するイリューシン・ファイナンスのアレクサンダー・ルブツォフ氏によれば「宇宙飛行士に最も快適な移動をしてもらう特別機ですから」、通常仕様の設計図を基準にして、約2000か所の変更点があるとのこと。

 53人までが搭乗できる客室内には、宇宙飛行士が使う個室が6つ。これはソユーズのメインクルーとバックアップクルーの計6人ではなく、ソユーズの次世代となる、もっと多くの宇宙飛行士が乗れる宇宙船が実用化される将来を見越してのものだといいます。メインクルーとバックアップクルーは、事故で全員が一度に失われてしまわないよう、2機の飛行機に分乗して移動しています。個室には大画面のモニターがあり、映画などを見ることも可能。


 このほかにも、宇宙飛行士とともに移動する人用の座席や、応接用の座席も設けられています。ゆったりとした革張りで、木のテーブルが印象的です。



 トイレは通常の旅客機と変わらないレイアウトですが、内装はウッディーなものとなっており、金属部分は金色で豪華な雰囲気。面白いことに便器の後方には窓がそのままついており、外を眺めることが可能になっています。


 コクピットはモニターに情報を映し出すグラスコクピット。宇宙飛行士の移動手段に用いられるだけでなく、航法訓練にも使用されるとのことです。


 この1号機に続き、4月には2号機「ユーリィ・A・ガガーリン」が納入される予定。実際に宇宙飛行士の移動に供される前に、操縦を担う人員によるバイコヌール宇宙基地までを往復する習熟飛行が行われることとなっています。おそらく日本人としては、2019年終わりごろから第62次/第63次長期滞在ミッション(Exp62/63)で国際宇宙ステーションに向かうJAXAの野口聡一宇宙飛行士が、初めてこの新しい専用機で移動することになるでしょう。

Image:Roscosmos

(咲村珠樹)