着物というと、結婚式や冠婚葬祭などのかしこまったシーンでしか着たことがないという方も多いのではないでしょうか。ましてや、普段使いしようとするとフォーマル過ぎて、カジュアルなシーンに合わないなど、着こなしに悩んでしまいます。そんな堅苦しい着物の印象をガラッと変えた人がいました。元アパレルデザイナー兼、オリジナル和装アイテム作家、美術モデルなど多岐に渡って活動されている琴子さん。「予算や流行に縛られず自分の作りたいものを作り、欲しいという方に届けたい」という思いから、現在は独立し、普段着使いできる着物を制作しています。

 なぜ洋服ではなく、着物を制作することになったのか、その経緯を伺いました。幼少期から茶道を習い、普段から着物を着ることが日常だったという琴子さん。大人になって改めて周りを見てみると、冠婚葬祭にしか着物を着ない人ばかりで、着た方がいたとしても、たくさんの厳しいルールに縛られて苦しそうに見えたといいます。そのようなシーンを目の当たりにして「もっとおおらかに、普段着のように着物を着て欲しい」という強い思いが芽生え、オーダーメイドで着物や小物などさまざまな和装アイテムを制作しているそうです。

 その着物の中でも、ひときわ目を引く「雅な蝶の帯飾り(8000円)」。もともと、金魚の帯飾りがとても人気で、同じくデニム着物でモチーフとして使用していた蝶も商品化しようと思っていたそうです。その決め手になったのが、東京で行っている作家陣主催の「装い市」というイベントで、お客さんと会話していく中で、作ろうと決意するきっかけになったとか。青、赤、黄色、ピンクなど様々な色使いで、光の当たり方で変化する羽の色彩を表現しています。帯飾り以外にも「雅な蝶のデニム着物」もあり、琴子さんがツイートして早々に「めっちゃ可愛いです!」「使い方無限大ですね」「お給料入ったら買います!」と、その使い勝手の良さと蝶のデザインに感動した方が多いようでした。

 「雅な蝶の帯飾り」は、チュールに大きな蝶の刺繍が施されていますが、それが逆に破れやすい原因になるのではないかと思い、琴子さん曰く「チュール自体に刺繍してしまうと、強度がかなり下がってしまいます。ですので、一旦別の生地に刺繍してから改めて端処理をして縫い付けています」とのことでした。

 「雅な蝶のデニム着物(20500円)」に関しては、お客さんから「デニム生地の着物で暑くないですか?」という質問が多いようで、その度に「1枚で着る場合、浴衣代わりにも着用できます」とご案内しているそうです。デニムの中でもかなり薄手の生地で、さらに張りを持たせることで通気性を良くし快適に着用できるとか。特にデニムは、汚れたり傷が出来たりしても、それが味になるため、着続けていくうちに自分のモノになっていく実感があり、もっと着物を愉しめるとのことでした。しかも、嬉しいことに簡単に洗濯機で洗濯でき、後は干すだけでアイロンも必要ないというのも普段使いするには欠かせないポイント。

 こちらの商品は注文した場合、時期にもよるそうなのですが、入金されてからお客さんの手元に届くまで一週間以内とのこと。急ぎのオーダーの場合は、個別に相談も受け付けているそうです。

 着物に不慣れな人が多い中、琴子さんの作品を見て「着てみたいと思い着付けを始めました」というお客さんからの声もあったとか。その言葉が、琴子さんの着物が「大好きだから」という思いの原点に戻らせてくれるといいます。最後に「1人でもたくさんの方に着物の楽しみを知って欲しい。着物は特別なものではない、好きなように生きこなせば良いただの衣服なのだと伝えていきたいです」と着物に対する熱い思いを語って下さいました。

<記事化協力>
琴子さん(Twitter:@machurica3 / 商品ページ:BASECreemaminne

(黒田芽以)