色付きそうめんの中に、1本だけ緑色が入っているとラッキーな気分になれたりしますが、その緑色が緑色に見えない人や、黒板に書かれた赤いチョークの文字が見えづらい、という人がいます。「色覚異常」という先天性の異常です。自身の感覚の問題だけに、なかなか伝わりにくい色覚異常ですが、そんな伝わりづらさを解消できそうな図がツイッターに投稿され、多くの人が「なるほど」となっています。

 この図を作ったのは、作編曲などをメインに活動しているtakumi_Rimitz(タクミ)さん。「『色が判らない』っていうのを人に説明する時にいつも苦労するので図を作った」と、その図とともにツイッターに投稿しています。その図とは、色の3原色を16進数で数値化したRGB値を使って、色の違いを数字で示しているという図。図には4パターンが描かれており、「緑とオレンジで状態をあらわすLEDにキレる」「『この肉もらうね』『まだそれ赤いよ?』」「『コート緑にしたら似合うね』『そのコート灰色だぞ』」「とくにエピソードはないけどかなり見分けづらい」という、4つの場面をRGBの数値で、色覚に問題がない人が実際に見えている色の数値と、色覚異常の人が見えているものの数値の違いを表しています。

 ヒトが持つ色覚には5種類に分類され、光の三原色(目は対象にぶつかって反射した光を色として感じるので、色の三原色ではなく光の三原色が用いられる)である赤・緑・青の全部が視認できる一般型が男性では95%、女性では99%と、ほとんどを占めています。しかし、赤色を視認する機能が弱い、あるいは欠落している、いわゆる第1色弱・色盲と、緑色の視認が弱い、欠落している第2色弱・色盲を持っている人も、男性では約5%(20人に1人)、女性では約0.2%(500人に1人)おり、日本人全体では約300万人という数になります。女性においては劣性遺伝である色覚異常の遺伝子を持つ人もいるので、優性遺伝子によって色覚に問題がなくても、同じ因子を持つ人との間に子どもを設けた場合、男性に色覚異常が出やすくなります。なお、全く色覚が分からない「全色盲」や、青色が視認できないという残りの2種類は、先天性のものとしては極めてまれです。

滋賀医科大学 滋賀医科大学眼科学講座より引用

 タクミさんの場合、図の2色は識別できない状態であるので、この図を作る時は「灰色と桃色の2色(まだ見分けれる段階)を用意してから『数値上では異なるのに見分けれない』になるまでRGB値調整」したとの事。確かに、一般型であれば全く違う色である事を見分けることができますが、色弱があると「実際に見える色は同じような灰色」なのに、数値上は全く違う、という現象となります。

 この図を見た人の中には、「すごい。本当に同じにしか見えない」や「本当に違う色なんですよね?」といった、タクミさんと同じ色覚を持つ人からの反応も複数届いています。また、焼肉へ行った時には、あなたは焼かなくていいから、という事になったり、まだ熟していない緑色のミカンなどをもいでしまう、といったエピソードも集まっています。

 筆者は看護師として勤務してきた中で、健診業務にも携わった事がありましたが、健診の場で色覚異常が分かった場合、安全面からの制限、微妙な色彩の調整や判別能力からの制限等があると就職できない職業などもあり、「もっと早くに色覚異常があるって知りたかった」と嘆く声を聞く事もありました。しかし、従来不適当と考えられていた職業の中にも、細分化された業務の中で色覚異常を持っている人が問題なく働けるところもあるので、希望の職業がある場合は自分の色覚の特性を良く把握したうえで、希望する就職先に掛け合ってみる、という事もできるかと思います。

 こうした色覚異常を含む、マイノリティ(少数者)と言われる人たちが安心して暮らす事ができるようになるためには、周りの理解が何より重要です。聴覚障害や視覚障害、発達障害や内臓疾患など、外からは目に見えない何かを抱えている人は、気づいていないだけでかなりいます。自分の目や耳などで感じたものだけが全てではありません。見えないところにある難しさについて理解していく事が、形だけでなく心のバリアフリーにも繋がっていくでしょう。

<記事化協力>
takumi_Rimitzさん(@takumi_rimitz)

<引用・参考>
公益社団法人 日本眼科医会| 色覚異常といわれたら|色覚異常は遺伝なの?
滋賀医科大学 滋賀医科大学眼科学講座
色覚の仕組みと呼称 | カラーユニバーサルデザイン(CUD)とは | 北海道カラーユニバーサルデザイン機構

(梓川みいな/正看護師)