たびたび目にする、「教えられていない漢字や計算方法を使っているのでバツを付けられた」という小学生のテストの点数問題。どうみても間違っていないのに評価されないで点数を引かれる指導方法に疑問を呈する話もみかけますが、そんな話とは逆の発想で児童の学習意欲を高めている先生の方法がネット上で話題を呼んでいます。

 「三女が小学校の漢字テストで102点を取ったと自慢してきた。回答の中で問題とは関係ない部分にもまだ習っていない漢字を書けば1点もらえるというシステムで、それは100点を取った人だけのボーナスだという。で三女はテスト前に習った漢字以外の字を自分で必死に調べて覚えている。先生は頭いいと思う」と、満点にボーナス点を付けた先生の方法に感心したのは、ネットユーザーで三人の娘の父である泳二さん。

 このつぶやきがツイッターに投稿されたところ、「100点取った人だけのボーナスっていうのがミソですね!」「習っていない掛け算を使って減点する教師がいる一方で、とても素晴らしいと思います」など、先生の方法に高評価な反応が続々。一方、「うちの子の小学校は、自主学習で習ってない漢字の勉強はダメだと謎ルール」という学校もあるようで、授業の運用方針は担任の先生一人だけではどうにもできなさそうな側面もあるようです。

 小学校の「学習指導要領」の総則には、

「児童が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよう,児童や学校の実態に応じ,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れることや,教師間の協力による指導体制を確保することなど,指導方法や指導体制の工夫改善により,個に応じた指導の充実を図ること」

とあり、習っていない単元についての減点には言及はされていません。また、学習指導要領の国語の「指導計画の作成と内容の取扱い」の項では、

「(ア)学年ごとに配当されている漢字は,児童の学習負担に配慮しつつ,必要に応じて,当該学年以前の学年又は当該学年以降の学年において国語指導することもできること。
(イ)当該学年より後の学年に配当されている漢字及びそれ以外の漢字については,振り仮名を付けるなど,児童の学習負担に配慮しつつ提示することができること。
(ウ)他教科等の学習において必要となる漢字については,当該教科等と関連付けて指導するなど,その確実な定着が図られるよう指導を工夫すること。」

とあり、配慮が必要であることは明記されているものの、単元以外で習ったものについての減点には言及されていません。他の教科についても、単元以外で習ったものについての減点には言及されておらず、児童の学習意欲を伸ばす方針での記載がなされています。

 これらの学習指導要領の内容からも、満点を取った児童にさらに加点できるこの先生の方法は、学習意欲を伸ばす良い方法であるという事ができると思われます。子どもでも大人でも、やれているのに減点されるというのは理不尽で納得できないことです。できているからこそ、さらに意欲を伸ばす方法がどの学校教育でも基本となると、より子どもの学力を伸ばすことに繋げられるのではないでしょうか?

<記事化協力>
泳二さん(@Ejshimada)

<引用・参考>
文部科学省 平成29年改訂小学校学習指導要領(PDF)

(梓川みいな)