イギリス空軍レイクンヒース基地に所在する、アメリカ空軍の第48戦闘航空団が2019年1月31日(現地時間)、同航空団が運用していた歴代戦闘機の塗装を再現した「ヘリテージ・ジェット」3機のうち第1弾となるF-15Eをお披露目しました。第二次大戦時代、ノルマンディ上陸作戦を上空から支援した、P-47サンダーボルトに施されていた塗装を再現したスペシャルなF-15です。

 現在アメリカ欧州空軍(USAFE)隷下で唯一F-15を運用する第48戦闘航空団は「リバティ・ウイング」という愛称を持っています。拠点としているレイクンヒース空軍基地は、イギリス空軍の基地でありながらアメリカ空軍のみが使用しており、そしてアメリカ空軍にとってはヨーロッパ最大の戦闘機基地。現在は第492戦闘飛行隊“マッドハッターズ”と第494戦闘飛行隊“パンサーズ”でF-15Eストライクイーグルを、そして第493戦闘飛行隊“グリム・リーパーズ”でF-15C/Dを運用しています。

 元々は1940年11月20日付(1941年1月15日付で戦力化)で第48爆撃機集団(軽)として創設された第48戦闘航空団。1942年に急降下爆撃を任務とするものに改編され、翌1943年には護衛戦闘機も含めた戦闘爆撃機集団となり、この時に現在の第492〜494飛行隊が形作られました。そしてノルマンディ上陸作戦をおよそ一週間後に控えた1944年5月30日、戦闘機のみの第48戦闘機集団へと再編されています。つまり2019年は、戦闘機部隊としての第48戦闘航空団にとって75年(欧米では25、50、75と100を4分の1に区切って節目を祝います)となる記念の年なのです。

 この75周年に際し、第48戦闘航空団では所属する3つの戦闘飛行隊に合わせ、3種類の「ヘリテージ・ジェット」を登場させる計画です。そしてその第1弾として、1944年の第48戦闘機集団初代の使用機であるP-47サンダーボルトの塗装を、第492戦闘飛行隊“マッドハッターズ”のF-15Eに再現しました。


 第48戦闘航空団の司令官、ウィル・マーシャル大佐はお披露目式典で「この『ヘリテージ・プロジェクト』は、第48戦闘航空団の歴史、特に第二次大戦中の“Dデイ”をサポートしたことにちなむものです」と語りました。

 お披露目されたF-15E「ヘリテージ・ジェット」は、当時のP-47に施されたエンジンカウル部のチェッカー柄を機首に、そして作戦中の敵味方識別のため施された白と黒のストライプ(俗に「インベージョン・ストライプ」とも呼ばれる)を主翼と胴体に巻きました。現在の愛称「リバティ・ウイングス」の自由の女神が描かれた垂直尾翼の方向舵部分には、部隊識別用の赤塗装も再現されています。


 全体の指揮をとり、細かいイラスト部分の塗装も担当したケイシー・シェフ技能軍曹は「新旧が交錯する、P-47とF-15の“ハイブリッド塗装”ですよ。搭乗したパイロットによって微妙に異なる25のデザイン候補から3つに絞り込み、その要素をまとめ上げました。この過程はウチのメンバーにとっても、非常に良いトレーニングの機会になりました」と、F-15のスペシャルマーキング作業について語っています。



 第48戦闘航空団によると、この塗装作業には15日間かかり、塗装用具などで1万5000ドル(約167万円)の経費がかかったとか。今後登場予定の「ヘリテージ・ジェット」2機のデザインも楽しみですね。

Image:USAF

(咲村珠樹)