シェイクスピアの四大悲劇の登場人物ほどの生命にかかわるような大きな悩みは、人生でめったに出会うものではありません。それでも生活をしていく上では、小さな疑問や知らないことに出会う機会があると思います。こういう場合、あなたはどうしますか?そんな疑問や知らないことについて、すぐ調べることを「オタク的行動」と言われて困惑したツイートがネットで物議をかもしています。

 Twitterで「「知らない言葉があった時に辞書やスマホで調べるのはオタク的行動」と言われたことがあります。そんな一々調べる人多くないんだって。大抵知らないことはそのまま読み飛ばすんだって。…そ、そうなの…?」とツイートしたのは、ちらいむさん(@chilime)。販売員としての仕事のかたわら、刀剣を愛でるという趣味を満喫しているそうです。

 「オタク的行動」と表現した相手について、ちらいむさんは「人に聞けばいいことをわざわざ調べる人、不思議な人と思ったみたいです。」と教えてくれました。ちらいむさんにとっては、何かを調べたり確認したりすることはごく普通のことなんだそうです。そして調べた結果、自分のものになった知識は、表に出していいものだと判断すればネットで共有しているとのこと。また、自分が愛好する刀剣に関する知識となれば、趣味を同じくする仲間と会ったときの話題に上ることもあります。

 ちらいむさんは、その後のタイムラインに「マメに調べ物をするからオタクになるのか、オタク的素養があるから調べ物をマメにするのか…両方かな…。」など、自身の考察を続けました。ネットからは「小学生の頃の基礎では……?」とか、「父親に辞書を引けと言われていた」といった反響に加えて、「知らないことや真偽が怪しいと思う情報がありすぎて無限に調べている」といった声が続々と寄せられています。

 オタク的行動という衝撃的な言葉を受けたことを振り返って、ちらいむさんは「人に聞いてみて聞いた人も知らなかったらそれは重要なことではない」「後で(誰かに教えてもらったりして)わかることもある」という割り切りもまた一つの生き方ではあるな、と思いいたったそうです。

 ちらいむさんが普段調べものをする際の方法も詳しくうかがいました。まず、ウェブを使うときは検索サイトで調べ、そこから精度の高そうなものを選んでいるそうです。もちろん書籍を利用することもあり、地域の図書館や国会図書館にまで足を運ぶこともあるそうです。調べたことを最終的に専門職の人に確認することも少なくないというちらいむさん。こうして聞いてみると、ちらいむさんは確かに調べものの達人に属するタイプなのかもしれません

 ちらいむさんに「調べる」という習慣が身についた理由をさかのぼると、おじい様の影響が大きいようだ、と話してくれました。まだ小さかった頃、花が好きなおじい様がちらいむさんに花の図鑑をプレゼントしてくれたのです。この図鑑、決して子ども向けではなく内容は難しかったそう。それでも、野の花を見つけてはおじい様にもらった図鑑で名前を探しました。読み方がわからない時もありましたが、そんな時は、おじい様に薦められた国語辞典を使って読み方から調べていったそうです。ちらいむさんの家には、おじい様が買ってくれた百科事典もありました。家族から何か聞かれたときなどに活躍しましたが、今はもう残っていないとのこと。調べるという習慣が、自然と身についていたちらいむさんは、子供時代に漢字や国語にあまり苦労した覚えがないそうです。調べて確認することは、大人になってから外国語の学習に取り組むときにも大いに役立ったといいます。

 「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥」という言葉もあり、聞かないよりは聞いた方が絶対的に良いという側面はもちろんあるでしょう。コンプライアンスが叫ばれる昨今、「わからないことはまず調べろ」という強面の親や上司も、もはや少数派なのかもしれません。スマホもPCも昔ながらの辞書も調べるツールはあふれているのに、調べること自体が不思議な行動というのはまさに不思議な現象ではないでしょうか。

<記事化協力>
ちらいむさん(@chilime)

(山口さゆり)