年末の風物詩ともいえる時代劇の王道「忠臣蔵」。亡き主君、浅野内匠頭のために宿敵・吉良上野介を浪士となった元赤穂藩士47人が討ちとるという忠義の物語。「武士の美談」とも讃えられています。

 が、しかし、そのプロジェクト(仇討ち)達成には「予算内」で討ち入る必要があった。という生々しい面に着目した映画「決算!忠臣蔵」が2019年冬に公開されることが、2018年12月14日に配給をつとめる松竹より発表されました。

 原作は、東大教授・山本博文による新書『「忠臣蔵」の決算書』(新潮新書)。江戸時代研究の第一人者が、大石内蔵助が実際に残した決算書「預置候金銀請払帳」を基に討入り計画の実像を記した話題作で、著者初の映画化です。

 物語の主人公であり、金欠に悩まされるリーダーの筆頭家老・大石内蔵助を演じるのは俳優・堤真一。赤穂藩主・浅野内匠頭と、吉良上野介との間で発生した江戸城松の廊下での刃傷騒ぎをうけ、幕府が下した結論は、浅野家のお家取り潰しと、浅野内匠頭の即日切腹。現代にたとえるなら、藩(家)は会社、藩士はサラリーマン。その会社の社長が突如いなくなり、会社も倒産、しかも藩士はほとんどが社宅(城下の武家屋敷)住まい……。そこで、内蔵助はせめてお家再興(会社の復活・事業継続)を願い、ひたすら幕府への働きかけをつづけていきますが……、結果その夢も絶たれてしまいました。

 そんな時に聞こえてきたのが、江戸の庶民たちの声。本来であれば、喧嘩両成敗ということで、浅野内匠頭が斬りかかった吉良上野介にも同等処罰があってしかるべきでした。しかし、幕府の判断は今回については不公平。そこで庶民たちの間から、吉良上野介への仇討ちを「超熱望」する声が高まり始めたのです。

 でもそこで発覚したのは、「討入りするにも予算が必要」という事実。しかもその上限は現在の価値にして約8400万(約700両)で、チャンスは1回ポッキリ。討入るのか討入らないのか、迷っているうちに予算はどんどん減っていき、ほっておくと底をついてしまう。でも世間の空気的に、仇討ちしないと絶対にまずい。

 予算の都合で1回しかないチャンスを前に、大石内蔵助は「予算内」で「一大プロジェクト(仇討ち)」を無事に「決算」させることができるのか。

 監督は、「殿、利息でござる!」「忍びの国」等、近年時代劇でもヒット作を連発する名匠、中村義洋。今回は自身で脚本も手がけ、今までに誰も見たことのない「本当の忠臣蔵」を描き上げます。

 主演・大石内蔵助は先に紹介したとおり堤真一。そして、大石内蔵助を支える勘定方・矢頭長助にはナインティナインの岡村隆史。藩の現状をしっかりと見つめ、ひたすら身を粉にして節約をしながら、盟友・大石内蔵助を支え続けるワーキングプアなそろばん侍を演じます。

 現代にも間違いなく通じる、予算達成エンタテインメント映画「決算!忠臣蔵」は2019年初頭にクランクインし、2019年冬に全国公開を予定です。

【キャスト・監督コメント】
■堤真一【大石内蔵助・おおいしくらのすけ役】

映画では初めての「忠臣蔵」、そして「大石内蔵助」役に挑みます。
中村義洋監督とは初めてですが、お話をいただき、あまりにも面白い脚本ですぐお受けすることにしました。
誰もが知る有名な物語ではありますが、立場によって見方は変わり、
あの時代に命をかけて忠義を尽くしただけの話ではなかったのです。
面白いだけではなく繊細な一面もお持ちの岡村さんと一緒に、
関西弁で、誰も見たことのない「忠臣蔵」を皆さまにお届けいたします。ご期待ください。

■岡村隆史【矢頭長助・やとうちょうすけ役】

また映画に出たいとずっと思っていました。
普段はなかなかお会いできない役者の皆さんとご一緒する、緊張感のあるプロフェッショナルな現場が好きです。
今回僕が演じるのは、貧乏なそろばん侍。
減量し、小4でやめてしまった嫌いなそろばんも頑張ります!
なので、2020年の日本アカデミー賞では僕に、スピーチのリベンジをさせてください。
応援よろしくお願いします!

■中村義洋監督

まさか自分が忠臣蔵を!? というのが最初にお話を頂いた時に思った率直なところです。かつて作られてきた映画、ドラマなど、あまたの『忠臣蔵』(三百本!?)の名に恥じぬよう、と思うとあまりのプレッシャーに脚本が一文字も書けなくなってしまったので、決して構えず、極力軽やかに、と心がけていたら、いつのまにか赤穂浪士は関西弁になり、「それ、なんぼ?」が口癖になった大石内蔵助をあの手この手で困らせることに夢中になっておりました。撮影に入っても堤さんと岡村さん演じる赤穂藩経理担当の面々を困らせ、追い込み、右往左往させていきたいと思います。これまで忠臣蔵モノをご覧になってこられた方々も、そうではない皆様も、そんな赤穂浪士を「はよ討入らんかい!」とツッコミながら応援して頂けたら嬉しいです。

■池田史嗣プロデューサー

今も昔も、予算は大事。誰もが知る忠臣蔵の、誰も知らないお金の話を良質なコメディとして描けるのは「殿、利息でござる!」でご一緒した中村義洋監督しかいないと思い立ち、そのオファーに応えてくれた監督が自ら書き上げた面白過ぎる脚本のもと、堤真一さん、岡村隆史さんという理想的な芸達者お二人が揃いました。共に関西出身の二人による凸凹コンビぶりは爆笑必至。女好きでボンボン育ちの大石内蔵助、ワーキングプアで神経質な矢頭長助。全くキャラの違う二人の丁々発止の掛け合いが、この作品の肝になります。このチームなら、新しい国民的エンターテイメントとして“誰も見たことがない忠臣蔵“を皆様にお届けできるはず。どうぞご期待くださいませ。

(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会
情報提供:松竹、ガイエ