「いや本当さ、~って言ってるやつら」という言葉で始まり、色々な「できないから。関係ないから」で締めるネタツイート。近頃Twitterで人気となっている、大喜利の一種です。そこに現役の小児科医もネタとして参戦したところ、子どもの偏食に悩む母たちにとって救いの光となる現象が発生しました。

 「いや本当さ、子どもがご飯食べないって言ってる奴ら。 栄養バランスよく考えてみ?一から愛情込めて手作りしてみ?ダシから味噌汁作ってみ? 1日がっつり一緒に遊んでさ、しっかりとエネルギー発散させて。ご飯に集中するようTVは消して。盛り付けも工夫してみな。余裕で食べないから。関係ないから」と、元ネタに乗せて子どもの偏食についてネタを飛ばしたのは、小児科医のDr.リノさん。

 そう、乳幼児の遊び食べや偏食って、真面目に食事を頑張っている母たちにとって、悲しいけど向き合わないといけない事実。このツイートは大きな反響を呼び、同じ小児科医からも「食べない時は何したって食べないですよね。 特に、2歳とか過ぎてしっかり分かるようになってからは」とリプライが来たり、「一生懸命作っても、それを食べる食べないは子供の自由って前に誰かが言ってたのを思い出しました。その言葉に結構救われたんですよね」と、救われた言葉に思いを乗せるリプライが来たり、「先生、今日それで私発狂して泣き崩れてました… なんでだろなんで食べてくれないのだ……と…… 少し心が軽くなりましたありがとうございます」などなど救われたという反響が相次いだり。

 その後のツイートで、リノ先生による偏食についての解説が。

 「子どもは色々な理由でご飯を食べません。味や舌触りの好み、遊びなどを優先したい、警戒心が強すぎる…etc. 大事なのは、これらは決して親の能力が足りないせいではないです」

 「甘味、うま味は栄養豊富なもの、グルタミン酸、安全なものが多く、子どもが好みやすい傾向にあります。 一方で酸味は腐ったもの、熟していない果実、苦味は植物アルカロイドなどの毒素を含んだものが多く、子どもが避けがちな味。トマトやピーマンが子どもに嫌われるのはそのため」

 「経験が偏食や食行動の発達に与える研究も報告されています(味覚嫌悪学習)。例えば、食べると体調が悪くなる物質を入れた甘い液体をラットに与えているとラットはだんだん甘い味付けの食べ物を摂取しなくなります。 遊び食べはこの食行動の始まりと考えられ、大事な発達の一過程です」

 「最初は自分の指や腕などから始まり、次第に食べ物を手でつかみ、口に運び、舐め、噛み、繰り返し繰り返しこれが安全な食べ物であることを認識していきます。食へ警戒心を持つこの時期、摂食時に不快な経験をすると子どもは食事そのものに対する嫌悪感を持ってしまいます」

 「子どもの好き嫌いは一定せず、昨日まで食べていたものでも今日は食べない、などはザラです。 食材や味以外で考慮すべき要素としては、幼児は咀嚼嚥下機能が発達過程にあるので、食べにくいものは味の好みによらず嫌われやすいです。生活リズム(眠気)なども一定でありません」

 「食=経験なので、大事なのは子どもにとって『食事の時間が楽しいこと』だと思います。遊びを中断させられる、怒られるなどの経験が多いと食事自体を忌避するようになります。逆に、笑う、たくさん褒められる、好奇心を刺激されることで食事に興味を持ってくれるかもしれません」

 と、6回にわたって詳しくツイートで解説しています。確かにありました、昨日食べたバナナを今日は握りつぶして遊ぶだけで食べなかったり、離乳食を食べさせている間にいきなり寝始めたり。そんな時、幼児向け番組のご飯を食べるコーナーに何度救われた事か。「○○も楽しく食べてるねぇ、じゃあ(長女)ちゃんも食べよっか」と、なるべく楽しい雰囲気に持って行ったりとかもしましったっけ。

 今ではその子たちも立派な思春期。思春期はこれはこれで気が向かないから食べる食べない、友達と食べてきたからご飯はいいや、など、話が通じる分、母がムキーッとなる場面もあったりして。幼児の頃に食べてくれたものを今は食べないってどういう事よ!?となりますが、そこはもう、しょうがないや~、とりあえず生きてればいいや、くらいに考えてます。食べたいもの勝手に食べてるし。

 なので、乳幼児期に偏食に悩まされている皆さん、大丈夫です。多少偏っても何かしら食べていればそれなりに成長します。遊び食べにイラっと来たりムカッと来たりするかもしれませんが、そこはその子の好奇心に合わせて子どもの目線で見てあげてみて下さい。ちょっと自分が楽になるかもしれませんよ。

<記事化協力>
Dr.リノさん(@awaguni_deko8)

(梓川みいな/正看護師)