ロボットヒーローものといえば、侵略者からみんなを守るために戦う……というのが基本線ですが、その辺りを「リアル」に突き詰めてみるとどうなんでしょう?ロボットを操縦してる人は「労働者」ですし、ロボットを動かす際のコストや維持メンテナンスといった固定費、そして損害が出た場合の保障……そんな「ロボットヒーローのリアル」を描くべく、映像監督の中尾浩之さん(「タイムスクープハンター」シリーズなど)、まんが家の窪之内英策さん(「ツルモク独身寮」「ショコラ」など)、デザイナーの出雲重機さん(「鉄騎」VTデザイン「オーバーロード」ほか)など豪華クリエーターが結集。オリジナルプロジェクト「ブルバスター(BULLBUSTER)」として始動し、まず12月27日に小説版がリリースされることになりました。

 これまで、ロボットもので「動かす組織」についてリアルに言及するものは多くありませんでした。中小企業(竹尾ゼネラルカンパニー)がスーパーロボットを動かす「トライダーG7」、警察組織(警視庁警備部特科車両2課)の中で公務員としての悲哀を混ぜ込んだ「機動警察パトレイバー」、警備会社(21世紀警備保障)がロボットを動かす「地球防衛企業 ダイ・ガード」……。この路線を突き詰めてみるとどうなるのか、というのが「ブルバスター」です。

 舞台となるのは龍眼島にある民間企業、波止工業。波止工業は正体不明の生物(害獣)に奪われてしまった島を取り戻すべく、ロボットを使用した害獣駆除を請け負っています。しかし経営は思わしくなく、社屋はボロボロ、そして害獣駆除に出動した際、ミサイルを使おうにも1発あたりのコストを考慮した費用対効果を考えなくてはならず……といった有様。

 主人公の沖野鉄郎は、ロボット操縦者として波止工業に出向してきた21歳。幼い頃からの憧れだったロボット操縦者になり、期待に胸を膨らませて着任したのですが、予想を大きく下回る波止工業の経営状況に現実の厳しさを知り、愕然とします。

 また、彼らは「労働者」でもあるわけで、様々な手当や残業代など、給料や労働条件に関わる諸問題も作品では描写されます。正義の味方といえば聞こえはいいですが、業務(害獣駆除)には危険が伴いますし、職場環境としてはあまりいいとは言えないところもあり……。この辺りは自衛隊の内情を知っている人からすると、かなり頷けるかもしれません。

 そんなリアルかつシビアなロボットヒーロー作品「ブルバスター」ですが、2017年11月に開催された創作同人誌即売会COMITIA 122などで、ショートストーリーやキャラクターデザインを詰め込んだコンセプトブックを頒布したところ、大きな反響がありました。それを受けて、中尾裕之さんによる原作・脚本を海老原誠二さんがノベライズした小説版がスタートすることになりました。もちろんイラストは窪之内英策さん。Vol.1は2018年12月27日に刊行予定。この発売に先駆けて、WEB小説サイト「カクヨム」での連載もスタートします。

 さらに11月10日・11日に福岡県北九州市で開催される「北九州ポップカルチャーフェスティバル」とのコラボレーションも実施。作品の舞台となっている龍眼島は北九州市をモデルにしているそうで、11月11日にはメインスタッフ(中尾裕之さん、高島雄哉さん、出雲重機さん)らによるトークセッションも実施されます。また、10日と11日には作品のPRブースも出展。イラストや等身大パネルなどが展示されるほか、関連グッズの販売も予定されています。

 夢はアニメ化、まさかの実写化!という“経済的に正しい”ロボットヒーロー作品「ブルバスター」はすでに公式サイトが開設されています。また公式ツイッターアカウント(@bullbuster_info)も始動しており、作品に関する最新情報が今後アナウンスされる予定です。クリエイターたちの「企画ごっこ」から一大ムーブメントになった「機動警察パトレイバー」(そして「デルパワーX 爆発みらくる元気!!」と「未来放浪ガルディーン」)のように、大きなうねりとなっていくでしょうか。

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情報提供:株式会社ピクス(P.I.C.S.)

(咲村珠樹)