高齢者を狙った、オレオレ詐欺などの特殊詐欺犯罪。ここのところ手口が巧妙化し、これまでの詐欺対策を利用して相手をだます例も報告されています。

 そこで内閣府は、より手口が巧妙化した詐欺に対応するため、詐欺を未然に防ぐために、いますぐできて、効果の高いアクションとして「防サギ3か条」を制定。その推進役となる防サギ隊長に、落語家の林家たい平さんを任命しました。

 東京の巣鴨地蔵通り商店街で開催された任命式で、政府広報室長から「防サギ隊長」の任命状を受け取った林家たい平さん。老後を楽しむため、孫に使うために貯蓄してきた財産を一瞬でだまし取ってしまう特殊詐欺は許せないと語ります。


 と、そこに電話が。「市役所の健康保険課の田中」を名乗る人から「先だって医療費の過払い分を還付する、という緑の封筒に入った通知書が厚生労働省から送付されていたのですが、まだ手続きをなさっていないようでしたので、ご連絡差し上げました」というお話です。

 こういった形でお金をだまし取られてしまった……という実例を寸劇にして見せてくれました。実際にある組織や、実際にある手続きに類似した用語や表現を使ったリアリティのある電話に、たい平隊長も「私達の想像以上に、巧妙になっていると思いました。」と驚きの表情を見せました。

 そこで、あの手この手で襲ってくる詐欺師の手口に騙されないためにも、つぎの3か条を心に留め置いてください、と「防サギ3か条」を発表しました。

1.電話に録音機を付ける。または留守電の設定をする。
(詐欺師は自分の声が記録されることを嫌がります。また、本当に大事な要件は何度も繰り返し連絡が来るものですが、留守電の場合、詐欺師から繰り返し連絡が来ることは稀です。)

2.相談用電話番号「188(いやや)」「#9110」をメモして電話する時目に付く場所に貼る
(一人で悩まず、どんなことでも相談してください。電話の向こうの人は、それが仕事ですので気兼ねしないでください。電話した秘密は守られます)

3.家族や身近な人と普段から会話する
(近況の把握や地域での声掛けが、異変に気付くきっかけにもなります)

 続いて林家たい平さんは、巣鴨地蔵通り商店会の皆さんと「防サギ3か条」の書かれたチラシを道行く人に配り、詐欺にあわないよう、声をかけていました。さすがに「笑点」などで人気のあるたい平さん、多くの人が周りに集まってきます。



 実際に「笑点」メンバーで特殊詐欺の被害にあった人はいないものの、三遊亭小遊三さんのお姉さん宅に特殊詐欺の電話がかかってきたことがあるそうです。普段から気を付けていたとのことで「あんた誰なのっ!」と聞いたら「クソババァ!」の捨て台詞で電話は切れたそうですが、その話を聞いた小遊三さんは「よく声だけで姉貴がくそばばぁだって気づいたな(笑)」と、犯人の勘の良さをほめていたとか。

 普段から周りの人と話をするのが大事、という点では「いつも一人だから」と春風亭昇太さんを心配するたい平さんですが、「まず昇太さんは、結婚詐欺にあわないように気を付けないといけないかもしれない」と、別の詐欺被害も心配していました。

 自分は用心深いから大丈夫、と思っている人ほど、暗示にかかりやすいのが人間の怖いところです。最近は「だまされたフリ」で警察に連絡し、お金を受け取りに来た犯人グループのメンバーを警察が逮捕する……という手法を逆手に取り、最初の電話のすぐ後に警察を名乗って捜査への協力を求め、お金をだまし取った例もあります。警察は通報しない限り、自発的に被害者を特定して捜査を始めることはありません。その点もよく考え、まず「その場で判断をしない」ように心がけましょう。

取材協力:政府広報

(取材:咲村珠樹)