まぶたのフチにできる痛いアレ、皆さんは何て呼んでいますか?「ものもらい」「めばちこ」など色んな呼び方がある目の病気、“麦粒腫”(ばくりゅうしゅ)についての興味深い全国マップがロート製薬の公式サイトから公開されています。

 “麦粒腫”とは、皮膚に常在している黄色ブドウ球菌などの細菌が、目をこすったりした時などにまぶたにできた傷に入り込んで化膿する、細菌感染の症状の一つ。まぶたの一部分だけぷくっと膨れて赤くなって傷みも出たりする厄介な症状、経験した事がある人も少なくないかと思います。この“麦粒腫”、地域によって呼び方は様々。

 ロート製薬が公開しているこの「ものもらいMAP」には、全国の呼び方がくまなく網羅されており、約1万件のアンケートデータから集計された呼び名がまとまっています。例えば、スタンダードな気がする呼び方である「ものもらい」の使用率は神奈川県が91%とダントツな一方、大阪での使用率は何と3%。マップでは使用率ごとに色のグラデーションが付いているのですが、「ものもらい」の分布をみると関東圏に極端に集中している事が分かります。一種の方言だったんですね。

 他にも、東海地方ではスタンダードな呼び方の「めんぼ」は、実は岐阜と愛知が殆どだったり、福岡では「めいぼ」という呼び方が「ものもらい」よりも若干多かったりなど、47都道府県ごとに呼び方がどんな割合で違うかも調べられます。変わりどころでは、熊本県の「おひめさん」や、沖縄の少数派「おともだち」、宮城県を中心に使われている「ばか」といった呼び方。このサイト内にはそれぞれのエリアごとに方言研究の見地での解説もありますので、自分の地元で何故こんな呼び方になっているのかを知る事もできます。

 子供の夏休みの自由研究の材料にもなりそうな「ものもらいMAP」、調べてみると意外な発見があるかもしれませんよ。なお、流行り目とものもらいは別物の目の病気。流行り目は「流行性角結膜炎」というアデノウイルス(8型、19型、37型、54型など)によって起こる感染症。非常に感染力が強いウイルス性の病気で、これにかかると学校に出席できなくなってしまいます(学校伝染病に指定される出席停止)。いずれにしても、目をこすったりタオルを使い回したりしないようにして、プールの後はきれいな水でよく洗い流すなど目を清潔にしておく事が大事ですよ。

<引用・参考>
ものもらいMAP – ものもらい(麦粒腫)の呼び方 | ロート製薬: 商品情報サイト
日本眼科学会:目の病気

(梓川みいな/正看護師)