2018年7月19日14時41分(ヨーロッパ中央時間)、フランスのトゥールーズでエアバスの巨大輸送機「ベルーガXL」が初飛行に成功しました。

 ベルーガは、完成した機体パーツ(コンポーネント)をヨーロッパに点在する11か所の各工場から、トゥールーズの最終組み立て工場へと空輸する巨大な輸送機。姿がベルーガ(シロイルカ)に似ているとして、この愛称がつけられています。

 現在のベルーガは、A300-600Rをベースに改造されたA-300-600ST(STは「スーパー・トランスポーター」の略)。1990年代から活躍してきましたが、最新のA350XWBのコンポーネントを搭載するには少々小さく、より大きな貨物を積載でき、より航続距離の長い輸送機として、2014年に開発が発表されたのが、今回初飛行した「ベルーガXL」です。

 ベルーガXLは貨物機仕様のA330-200をベースに開発されました。機体上部を「バブル・エアフレーム・セクション」として大きくふくらませ、内径8.8m、全長45mの貨物室としています。この容積はA300-600STベルーガの1.3倍となるXLサイズ。現在のベルーガでは左右どちらか1つしか積めなかったA350XWBの主翼を、ベルーガXLでは左右両方まとめて運ぶことができます。最大積載重量も51トンと向上し、この状態での最大航続距離は4000km。工場が点在するヨーロッパほぼ全域をカバーできます。

 エアバス社内のデザイン公募で、ちょっとアゴのしゃくれたベルーガのデザインに塗装されたベルーガXL初号機は、クルストフ・ケイル機長、サエズ=ベニート・エルナンデス副操縦士の手でトゥールーズ・ブラニャック空港を離陸。4時間11分にわたって上空で各種機能の動作確認を行いました。この様子はインターネットで生中継もされています。






 初飛行を終えたベルーガXLは、これから10か月以上にわたって600時間以上の試験飛行を行い、航空局の型式証明取得を目指します。順調にいけば、2019年の後半には型式証明を取得し、運行を開始する予定です。


 エアバスではA300-600STベルーガを更新するため、全部で5機のベルーガXLを2019年から2023年にかけて製造する予定です。

Image:Airbus

(咲村珠樹)