PCやスマホを毎日長時間使っている人が多い時代であるとともに、ドライアイが原因の目の疾患や視力低下も増加しています。そんな中、ある漫画家の実体験が大きな話題になっています。

 極度のドライアイが原因で角膜剥離という状態が起きたという、漫画家のユイザキカズヤさん。その実体験が漫画となってツイッターに投稿されたところ、5万3千回以上のリツイートを越えるなど大きく拡散されています。その漫画の内容とは……。

 ある夜、仮眠から目が覚めたと思ったら激しい左目の痛みに襲われたユイザキさん。眼球を紙やすりでこすられているような激しい痛みに目も開ける事ができなかったものの、目を閉じていればやり過ごす事ができたため翌日眼科へ。

 眼科での診察結果は「角膜の剥離」。目の表面を覆っている「角膜」という薄い膜が、何らかの原因で剥がれてしまっている状態です。眼科医によると「だいぶベロンといっている」状態だったそう。

 眼球を保護する角膜はとても薄く、数日で再生するのですが、一度角膜が剥がれてしまうと再発しやすくなります。「半年して再発しなかったら完治って事でがんばりましょう」と説明を受けたものの、結局完全に治まるまで1年半を要したのだそうです。

 主な治療は、角膜の保護の為の投薬と目を眼帯で覆う物理的な保護。右目を動かすと左目も一緒に動いてしまいますが、少し動くだけでも痛みは強く、また片目が使えないと遠近感が掴めないため、眼帯を使っている間はかなりの不便があったようです。

 ユイザキさんが特に辛かったというのが、入眠時の目の痛み。寝ている間でも眼球は無意識に動くのですが、目を閉じていても眼球が動くとまぶたの内側と剥離を起こしている部分が擦れてしまい、相当な痛みが出ていたようです。眠気と痛みの両方が無限に続くなんて……。

 完治して3年が経過したという現在、今のところ再発は起きていないもののやはり目を開ける時はかなり慎重に開けているようです。

 この内容を見たネット民からは「同じ様に角膜が剥がれた事があった」「両目同時に起こってしばらく何も見えず、目に塗る軟膏の処置も辛かった」「シャレにならない、怖い」といった声が相次いで寄せられており、複数の医師アカウントからも「繰り返す事の多いものなので湿度に気を付けるなど乾燥に注意し、定期的に診察を」などコメントが寄せられています。

 ユイザキさんに詳しいお話を伺ったところ、この状態の前にも目の違和感と視力の低下があり、症状が出る3か月前に眼科へ受診したそうです。その時に「目に小さな傷ができている」と眼科医に言われ、点眼薬が処方に。1週間ほど点眼薬を使用して症状が落ち着いたと思った矢先の出来事だったそうです。その傷の原因とは、極度のドライアイ。日本眼科学会によると、オフィスワーカーにおいては3人に1人がドライアイという報告もあり年々増加傾向との話。現代病の一つともいわれており、全ての年代において発生しています。

 眼球を保護している角膜は常に涙液の層で覆われており、潤っていないと肌荒れを起こしたようにボコボコになってしまいます。角膜が乾燥するとひび割れたような状態を引き起こす事もあり、これが傷となってしまいます。そしてさらに乾燥が進む事で、角膜がまぶたの裏側に貼り付き、剥がれてしまい「角膜剥離」の状態となってしまいます。PCで長時間画面を見続ける作業が多い仕事をしているユイザキさんは自覚はなかったものの、眼科で極度のドライアイと診断されたそうです。

 黒目を覆っている角膜に潤いと栄養を供給する涙液は、まばたきをする事で角膜全体にいきわたるのですが、画面を凝視する事でまばたきの回数が減り、結果的にドライアイとなってしまいます。視力の低下も角膜が滑らかな状態でなくなり、レンズに傷がついた状態になってしまったために、視界の正しい映像を網膜でキャッチできなくなってしまう事から起きています。

 今では寝る前に目薬をさして、起きる際に目をゆっくり開けることを心がけているというユイザキさん。本当に辛かったので少しでも多くの人に知って欲しいとコメントしています。

 まばたきを10秒以上我慢できない、まぶしさや目の痛み、かゆみ、違和感、疲労感、充血など、日本眼科学会が紹介しているチェック項目が複数当てはまる人は、眼科に相談してみましょう。そして目が乾燥するからと点眼薬を使い過ぎないよう、適切な使い方で目の健康を守ってくださいね。

<記事化協力>
ユイザキカズヤさん(@k_yuizaki)

<参考>
日本眼科学会:目の病気 ドライアイ
他多数

(梓川みいな/正看護師)