レッドブル・エアレース2018第3戦、千葉大会がいよいよ今週末の5月26日(予選)・27日(決勝)に迫ってきました。2016年・2017年に続き母国大会3連覇の偉業に挑む2017年のワールドチャンピオン、室屋義秀選手がレースエアポートで直前の心境を語りました。

 浦安市の岸壁に作られたレースエアポート。滑走路のすぐ隣に高層ホテルが開業したため、一時は飛行場の要件を満たさない恐れがありましたが、ホテル側の協力もあり、国土交通省航空局が特例で許可を出して無事設営が完了しました。

 ハンガーで報道陣との会見に応じた室屋選手。今シーズンを簡単に振り返り、千葉大会について語ってくれました。

 カンヌ大会に新しいエンジンカウリングとウイングチップを投入した室屋選手。実はこれと並行して、垂直尾翼を小さくして空気抵抗を減らす改良についても行っていました。カンヌ大会ではまだ熟成が進んでいなかったものの、大会終了後に機体を拠点であるふくしまスカイパークに持ち込み、テストフライトを行って、満を持して千葉大会に投入することになったといいます。

 垂直尾翼を小さくしたことで前面の面積が減り、空気抵抗が減少して加速が良くなったと語る室屋選手。しかしそれと引き換えに、垂直尾翼は「垂直安定板」という別称の通り、機首が左右にふらつかずまっすぐ飛べるようにする部品のため、左右(ヨー)方向の安定性が悪くなります。いい方にとらえれば動きやすくなるのですが、悪く言えば進路にブレが生じ、思った方向にうまく飛べなくなるリスクもあるのです。

 この点について室屋選手は「垂直尾翼と、そこにつく方向舵(ラダー)が小さくなったので、安定性は悪くなります。特にシケインやターンの時に、少し気を遣う必要がありますが、その点についても福島で十分に習熟してきたので、対処できる状態です」と語っていました。

 トラックは昨年とほぼ同じで、レイアウト図では全く違いがありませんが、バーティカルターンを行うゲート3が若干沖の方に移動しており、シングルパイロンのゲート2からのS字ターンは少々緩和されています。全体的にターンを繰り返す、速度面ではミドルレンジのレイアウトで、第2戦のカンヌ大会のような特性を持つレイアウトです。

 室屋選手の機体はスピードの伸びがいいので、このようなレイアウトだとその特性を発揮しにくいのですが、今年はカンヌ大会でいいタイムを出していることもあり、十分トップレベルのタイムで勝負できそうだと語ってくれました。

 昨年も千葉大会は僅差の争いでしたが、最後にモノを言うのはやはりファンからの声援(ファンブースト)だとのこと。ぜひ応援してくださいと室屋選手は語りました。

 レッドブル・エアレース2018第3戦、千葉大会は5月26日に予選、27日に決勝が開催されます。インターネットではDAZNで26日の予選から、テレビではNHKのBS1で、27日の決勝を生中継する予定です。

(咲村珠樹)