2018年2月28日(フランス時間)、フランスの航空機メーカー、ダッソー社はパリ郊外のル・ブールジェ空港で、新型ビジネスジェット機「ファルコン6X」の開発を発表しました。以前から予告されていた新型機種です。

 「ファルコン」は、ダッソー社が展開するビジネスジェットのシリーズ。6Xはすでに開発計画の中止を発表していた5Xをベースにしたもので、プラット&ホイットニーPurePower PW800シリーズを2基、胴体後部に装備する双発機です。5Xは、エンジン契約メーカーだったサフラン社がエンジン開発ができなくなったことにより計画中止となったので、機体デザイン自体は基本的に5Xのものを踏襲するとのことです。このためか開発スケジュールは短期間で、2021年の初飛行、2022年の顧客引き渡しを予定しているとのこと。

 「この新型機で、これまでの境界を大きく超え、使用される最新の航空技術で素晴らしい飛行体験を得ることができるでしょう。ファルコン6Xは、ビジネスジェット最大級のキャビンスペースと成熟した信頼のシステムとエンジンにより、快適性と性能を両立させています」と、ダッソー・アビアシオン社のエレック・トラピエCEOは発表会の席上で語りました。

 装備されるプラット&ホイットニーPurePowerターボファンエンジンは、静粛性と低燃費性能がウリの最新ジェットエンジン。ファルコン6Xの標準仕様となるPW812Dの推力は1万3000〜1万4000lbs級となります。機体や主翼の空力デザインの効果と合わせて、最大航続距離は5500海里(1万186km)。これは日本からだとアメリカではサンフランシスコやロサンゼルス、ヨーロッパではロンドンやパリまで無着陸で行ける距離。南半球へはオーストラリア全域がその範囲内に入ります。

 キャビン高は大柄な人でも安心な1.98m、幅は2.58m。全長は12.3mあり、16人の乗客を3つのラウンジエリアに乗せることができます。コクピットは第三世代のフルデジタル仕様となっており、電子フライトバッグ(取扱説明書)に「ファルコンアイ」というダッソー社独自の複合ビジョンシステムを搭載し、夜間でもヘッドアップディスプレイを通じて安全な離着陸が可能になるということです。

 この大きさのビジネスジェットを運用する顧客は限られますが、政府機関などが小回りのきく「VIP機」として採用するには最適の大きさ。また、軍などの連絡機や多用途機のベースにも転用できるので、こちらの需要も大きなものとなるでしょう。

 Image:(c) Dassault Aviation

(咲村珠樹)