「子供用車いす」の存在がこのところネットで注目されています。

発端は、ツイッターユーザー・きよきよさん(@kiyokiyokingdom)の投稿。
「【拡散希望】乳幼児の車椅子ってベビーカーと見分けがつかないんです。だから、お店やレストランなどの公共機関で『ベビーカー畳んでください』って言われてしまう。この様なプレートを見かけたら、身体に何らかのハンディキャップがある子供なので、配慮いただけます様お願い致します。」というツイートが7万リツイート以上拡散されています。

子供用車いすは一見すると普通のベビーカーと何ら変わりの無い見た目をしており、きよきよさんが言うように公共の場などではしばしば誤解をされ「畳んでください」と指摘を受けることがあると聞きます。また、看護師としても働く筆者個人が聞いた話では、少し大きい子供の場合「そんな大きな子供を乗せて」と見知らぬ人から聞こえる声でイヤミを言われたという話を聞いたこともあります。

社会的弱者である障害児・者は健常者と同様に生活することがその障害ゆえに困難であり、なかなか外に簡単に出かけることもままなりません。それ故この様な肢体不自由児が生活するのに不可欠なものが社会的に認知されにくい状況です。

子どもの福祉用具展「キッズフェスタ」というサイトでは今年の4月に行われた「第16回子どもの福祉用具展 キッズフェスタ アンダー18」に参加された企業団体や出展品目などが掲載されています。
ここにはぱっと見、ベビーカーにしか見えないような可愛らしいバギーが紹介されていますが、実は障害で首が据わっていなかったり体をまっすぐに支えることが出来ない子供向けに作られています。

先天性の難病であったり、生まれてくるときの事故などで脳に障害を負ったりすると体の発育も健常者とはかなり違ってきます。そんな子どもたちを支えるためのバギーであり車いすです。体の発育とともにバギーのサイズも変えなくてはならない為育てている親の負担も大きいです。また、療育に必要な公的支援を受ける為の申請から支援が実際に受けられるようになるまでかなりタイムラグが発生することがあります。症状が固定してからでないと必要な書類が発行されないということもあるからです。
公的支援が受けられない場合、やむなく市販のベビーカーを使わざるを得ない状況もあります。

そのような状況の中での外出は周りの目がとても怖く感じられます。使わざるを得ないのに「ベビーカーを畳め」と言われるのではないかという怖さ。何度も同じ事を繰り返し知らない人に説明しなければならない心の負担も相当なものでしょう。
その負担が少しでも軽くなり、周りからも好奇の目に晒されることなく理解を得られやすくなるようにと考え出されたのが、先のツイートの「プレート」です。2016年にNHKの「おはよう日本」でも障害児用の車いすとともに「海外の人でもなんとなく分かるように」と子供用車いすマークをデザインしていく様子が取り上げられています。

このプレートには子供用車いすのピクトグラムと文字が記されています。これを見ただけでバギーや車いすを使わざるを得ない状況にあるという事が少しでも多くの人に伝われば、きっとそれを必要とする子供達の外出は、今よりもっと気楽で楽しいものになるのではないでしょうか。

・記事化協力:きよきよさん(@kiyokiyokingdom)

(看護師ライター・梓川みいな)