先日ある神社の方が、頒布した御朱印帳がネットオークションで転売されているのを発見し、Twitterアカウントを通じて「神社頒布品をオークションに出品し利益を得る行為は許せません。頒布品は祓いをし神徳を得られるように祈願しております。一般商品とは違うものなんです。もう来ないで下さい。」と発言したことが注目されていました。

 ツイート主は、守谷総鎮守八坂神社(以下、八坂神社)。八坂神社は素戔嗚尊を祀る茨城県守谷市一帯の氏神様。素戔嗚尊は八岐大蛇を退治した神様として知られており、八坂神社では「神輿修復事業の記念品の一つとして」5月下旬から、素戔嗚尊が剣をかざした絵柄の御朱印帳と、八岐大蛇が描かれた御朱印帳が数量限定で頒布されていました。転売されたのはその数量限定の御朱印帳。初穂料1600円のものに約3倍近くの値がついていたそうです。そこで今回の騒動はじめ御朱印帳への考え方含めて、八坂神社に詳しい話しを聞いてみました。

 そもそも御朱印はお寺で写経した際の受付の印が起源と言われてるそうです。今では、神社仏閣の参拝の証として記している方が多いのだとか。そして、近年では「御朱印ブーム」なるものが巻き起こり、御朱印目的のお参りがかなり増えてきているそうです。

 確かに最近旅先で神社に行くと、お守りの横に神社ごとに違うデザインの御朱印帳が置いてあるのをよく目にします。このような流行を受けて、神社側としては「目を向けていただけることは大変有り難いこと」だとしている反面、スタンプラリーのような感覚で来て、参拝もせず帰る人が増えていることも残念に感じているそうです。

 他にも1人で何冊も御朱印帳を持ってくる人も増えたそうです。この場合、家族や友だちの為に御朱印求められた場合、神社側も快く引き受けてくださっているそうですよ。ただし、今回のように利益を得る転売目的で御朱印を持っていくのはNG。御朱印は「参拝の証、そして神様とご縁を結ばれた証」なので、お参りをしてからが本来のありかたですね。

 そして、つぶやきの発端となったオークションでの御朱印帳転売。転売されていた御朱印帳は、5月下旬の頒布開始から一週間ほどでオークションに出品されていたそうです。それを知り、神社の方は「残念な気持ちになってしまった」と述べています。

 神社側ではそもそも、「病気で本人が足を運べなかったり、安産祈願や合格祈願など特定の誰かのために誰かがお守りを買う」という、誰かを思い代行することについては理解をしているそうですが、今回のようなケースには「不特定の誰かに向けて購入し、利益を上乗せして出品するのは、いかがなものか」と感じているそうです。

 そして最後に八坂神社の方はこんなことも仰っていました。「日本には、八百万の神様が皆様の地域にも氏神様としていらっしゃいます。地域の氏神様にお参りし、参拝の証として授けてもらうことが理想です。もちろん、旅先の神社にお参りしていただくことも楽しみのひとつでしょう。神社は緑が多く、自然豊かな場所になります。お参りをしていただき、自然の神様とふれあい、清々しい気持ちになっていただくほうが御朱印を書く身としても嬉しいです」と。

 今回注目されたことをきっかけにネットでは様々な意見が交わされていました。八坂神社の考えに賛同する方が大半ですが、一方で「買ったものをどうするも自由」という意見もあります。しかし、それでもやはり御朱印帳を「単なるコレクターアイテム」と扱うのには、違和感を覚える人は少なくないようです。御朱印帳の転売。皆さんはどう考えますか?

・取材協力:守谷総鎮守八坂神社

(天汐香弓)