6月10日の「時の記念日」に先駆け、セイコーホールディングス株式会社が6月9日に「セイコー時間白書2017」を発表しました。

そもそもこの記念日。きっかけは中大兄皇子(後の天智天皇)になるそうです。女帝として知られる斉明天皇6年、西暦でいう660年に飛鳥に漏刻(ろうこく)といわれる水時計台をつくり、天皇即位後の天智天皇10年の671年に新たな漏刻を整備。日本で初めて民に鐘や太鼓で時刻を知らせたとされています。そしてこの日が現在用いられる”グレゴリオ暦”で6月10日にあたることから大正9年の1920年に「時の記念日」に認定されました。

人は古来より、日の高さなどである程度の時間を把握していたそうですが、この時代に正確な時を知ることができたというのは、おそらく人々にとって画期的出来事だったのではないでしょうか。そして時は流れて約1300年後の現代では腕時計、掛け時計、スマートフォンについたデジタル時計と様々な方法で今の時刻を誰しも正確に知ることができますが、逆に便利だからこそ時に追われる現代人の姿が「セイコー時間白書2017」では垣間見ることができます。

■オフの1時間の価値はオンの1.7倍の価値

1970年代の日本では「モーレツ社員」という言葉が大流行するほど「忙しく働く」ことが美徳、また価値のあるものとされていましたが、現代人の受け止め方は一転。プライベートな時間を大切にする意識がこのアンケート結果には出ています。

アンケートでは全国の10代から60代の男女1,200人に協力をしてもらい、「オンタイム」、「オフタイム」の1時間の価値を金額で出して貰っています。

その結果、仕事や家事・勉強をするオンタイムは3,669円/時間、プライベートなオフタイムは6,298円/時間と、オフタイムの方が1.7倍高くなっているそうです。

▼自分の1時間の価値

全体:オン3,669円、オフ6,298円
男性:オン4,435円、オフ9,123円
女性:オン2,903円、オフ3,473円

■時間の価値観が全くことなる男女

さらにこれを性別で見てゆくと、男性のオフタイムは9,123円とオンタイム4,435円の約2倍という値付けにまで開いており、男性にとって休みは何よりも価値のあるものと受け止められているようです。

対し女性のオフタイムは3,473円、オンタイムが2,903円とあまり開きがありません。男女では、時間の価値観がどうやら全くことなるようです。

■若年層はオフ、50代以上はオンに価値を感じている

また、これを世代別で見てゆくとさらに興味深い結果があります。10代・20代では圧倒的にオフタイムが高くなっていますが、年代が高くなるとオン/オフの差が縮まり、50代で逆転し、オンタイムの価値の方が高いという結果になっています。

▼世代別

・10代:オン4,354円、オフ11,337円
・20代:オン2,912円、オフ9,479円
・30代:オン2,972円、オフ4,339円
・40代:オン3,969円、オフ6,753円
・50代:オン4,584円、オフ3,201円
・60代:オン3,222円、オフ2,680円

50代以上といえば、会社なら管理職にあたる世代。ニュースなどで度々、世代間の働き方にジェネレーションギャップがあるといわれていますが、この数字ではその事実を明確に裏付ける結果となっています。

■1週間の内最も大切にする時間は「花金の夜」

そしてアンケートの中ではこんなことも質問しています。1週間の中で最も大切にしている時間は?

結果、最も多かったのが、今や死語ともいわれる「花金」こと「花の金曜日」の夜22時。オフモードへの切り替え時間としてゆったり過ごすという人が多いようです。

アンケートに答えた人の意見では「一週間の仕事が終わってほっとして、休みに入れる時間帯だから」(男性40代)、「週末の1人ゆっくり時間」(女性20代)などがあげられています。

しかし2位・3位では一週間のスタートでもある月曜の朝が選ばれています。2位が月曜日5時台、3位が月曜日6時台。選んだ理由には「一週間の始まりだから」(男性20代)、「一週間の始まりがきちんとスタートすればその週は時間に追われない」(男性30代)などがあげられます。

■男性は週の初めが大切、女性は週末が大切

ちなみにこれが男女別になると全くことなり、男性は1位、2位、3位全てが月曜の朝。時間は月曜6時、7時、5時の順となり、週の始まりを大切にしていることがわかります。

一方女性はというと金曜22時、土曜21時、土曜19時の順。こちらは週の終わりのゆっくりした時間を大切にしているようです。

男女、世代別に考えが違う「時」。
女性はゆったりした週末タイムを、男性は気合いを入れたい月曜朝を、そして年代別では若者はプライベートタイムに価値を感じ、50代以上は仕事の時間に価値を見いだしている。男女や世代によっての生き方がこの結果には如実に現れているのではないでしょうか。会社や家庭、学校などでパートナーや上司・部下の考え方を知ることに役立つかもしれませんね。

<調査概要>
■実施時期 2017年5月12日(金)~5月13日(土)
■調査手法 インターネット調査
■調査対象 全国の10代から60代の男女1,200人
(男女各600人ずつ 各年代別に男女各100人ずつ 10代は15歳以上)

(宮崎美和子 / 画像・「セイコー時間白書2017」より引用)