<コラム>

 先日テレビを見ていたら、近頃の幼稚園や保育園では、節分の豆まきの際に安全性を考慮して豆ではなくマシュマロや柔らかいボールを投げるところが増えていると紹介されていました。また、鬼への恐怖を和らげるため、最後に良い鬼になり仲良しになるか、鬼役の先生方がその場でお面を外し、ネタばらしをするなどしているそうです。

 思わず「へー、園によってずいぶんと方針が違うんだなー」と声に出してしまったのですが、節分を“ソフト”にする園のある一方で、先生方が“超本気”を出して豆まきを行っているところもまだまだあります。私の子供が通う園もその一つです。

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■本気の園では「鬼」の進入を阻止するべく防衛作戦まで立てられる

 ちょうどネットでも、そういう「本気を出しちゃう園」の話が話題になっていました。ネットで話題になっている園の場合には、節分に向かい子供達が鬼対策の作戦を練るのだとか。どうやって隠れよう、どうやって反撃しよう、進入を阻止するためにどうやってバリケードを築こう……。あれやこれや考え、作戦を練り、それに先生方が協力するようです。なんだかほほえましい限りですね。でも当日は容赦なくバリケードを乗り越え進入してくるそうです……。

 私の子供が通っている園ではバリケードを設置するまでの事はしませんが、節分約半月前に毎年園のどこかに「鬼からの果たし状」が張り出されます。そしてそれが出ると我が家の息子は暗い顔して帰ってくるのです……「ママ、まめまきの日はお休みするからおねがいね」と。まぁまぁととりあえずなだめて後は園にお任せするのですが、園ではこの後、担任の先生および年長さんが中心となって、鬼が攻め入った時の攻撃方法、年少さんを年中・年長がどう守護するか、攻撃の締めは年長が鬼を駆逐するなどが話し合われているようです。そして当日はというと、身長があり運動神経も良い先生が鬼役をつとめ、超元気に園内を駆け巡り子供達を追い回します。

 ちなみに我が子の攻撃作戦は「怖い顔でにらめっこ」だったそうです。鬼が来たら怖い顔をして強気に出る……という撃退作戦だと教えてくれました。

■鬼のイメージが変化したこの数年

 この数年は、子供達の世界において「鬼」の印象が劇的に変化した時期でもありました。最初の理由はアプリ「おにから電話」の登場。
子供がいたずらした時や、言う事を聞かない時に使うと、怖ーい鬼が叱ってくれるというアプリです。このアプリの登場により、「鬼」というだけで、本気で恐怖を感じる子供が続出しました。おかげで、節分の日に保育園や幼稚園に「行きたくない!」という子も……。

 我が家も最初のころちょこっと試した事がありますが、息子が節分前に園で出された課題「鬼さんを描いてみよう!」の際に、「こわいからやだ(号泣)」と拒否した事件があり、猛省して以来使う事は辞めてしまいました。

 そんな風に恐れられた「鬼」のイメージ。それが好転する機会が約2年前に到来します。それはauのテレビCMに登場した「鬼ちゃん」の存在。テレビCMでの認識の他、おにから電話とコラボした事もあり、おかげで子供達の「鬼=恐怖」のイメージはすっかり和らいでいます。とは言っても、まだ怖がる子もいますが、それでも鬼ちゃんのおかげで「無条件で怖がる対象」よりかは「良い鬼もいる」ぐらいの認識には変わっているように思われます。

■我が子に教えた大切な事「節分に菅田将暉は来ない」

 ただし、我が家にとってはこの「鬼のイメージアップ」には一つだけ悩みを抱える事にもなりました。昨年の節分からですが、娘の脳内では「節分に鬼がくる=鬼ちゃん(菅田将暉さん)がくる」とどういう事だかなってしまい、節分を指折り数える始末。おいおいおい、と思いつつ「鬼ちゃん忙しいから……」と昨年は説得したのでした。そして今年また同じ事が……。

 流石に今年は「お母さん、大事な事を一つ教えておくね。節分には鬼ちゃんは来ない」「残念だけど鬼ちゃんも菅田将暉も我が家には来ないんだよ……」と。その後、我が家の今年の豆まきが粛々と行われたのは言うまでもありません。

 子供にとっては「恐怖の時」や「戦いの時」である節分。今年も何とか無事に済みましたが、超本気で節分をやる園では来年一体どんな「節分戦争」が繰り広げられるのでしょう。私に限らず、対象の園に子を通わせる親御さんにとっては楽しみの一つとなっているのではないでしょうか。来年はどんな成長を見せてくれるのか……暖かく見守りたいですね。

(栗田まり子)