お正月気分も残る1月上旬の節目といえば「成人式」。元々は1月15日が祝日で、「15日だった」という記憶のある方が多いことでしょう。しかし、現在は1月の第2月曜日に変わっていて、すでに変わってから17年になります。2017年の成人の日は1月9日です。
 2017年に新成人を迎えたり、来年や再来年に新成人になる人、さらにはその保護者の方まで、知っているようで知らない「参加のための条件」をご紹介します。

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 あ、申し遅れましたが私(筆者)、地元の山口県光市で成人式実行委員の委員長を務めております。手前味噌ですが、山口県光市の成人式は「成人式大賞2014」で大賞を受賞したこともあります。そのため、成人式については人よりちょっと詳しい方です。

成人式大賞の賞状

■対象者は生まれ年か、学年単位の場合の対象は4月2日から翌年4月1日までの人

 まず対象者は誰になるのかですが、実は厳密には主催者によって若干違います。基本的には、「生まれ年」を基準にするケースと、「学年」「年度」を基準にするケースがあります。
生まれ年は文字通り1月1日生まれから同年12月31日生まれまでの人を対象にしたものですが、現在はこの方式を採用しているケースはまず聞きません。学年単位で実施しているところが多くなっています。

 学年や年度を基準にすることが大半ですが、では具体的にいつからいつまでの人になるのでしょうか? これは学校で学年の基準となっているものと同じく、4月2日から翌年4月1日生まれまでとなっています。 今年2017年であれば、1996年(平成8年)4月2日から1997年(平成9年)4月1日生まれの人が対象となっています。

■参加費は原則として不要

 市区町村などの自治体が主催するケースでは、成人式の参加費は自治体の費用(税金)により原則無料で行われています。特に参加費についての記載が無ければ無料と捉えてください。

 ただし、それ以外が主催のケースでは費用が必要なケース※もありますので、その場合は案内状やホームページ等で記載が無いか念のため確認しておくと良いでしょう。※例は「自ら申し込みを~」の項にて説明。

■参加対象として自動カウントされるのは「住民票」がある人だけ

 主催によっても一部異なりますが、原則は各自治体が決めたある時点で住民票があり、対象期間に誕生日を迎える人は自動的に対象者となります。では、進学や就職などで住民票を移してしまった人や、元々住民票はないけど学校の友達との参加のために違う自治体の成人式に参加したい人はどうすれば良いでしょうか。

 実はこれら自治体主催の成人式では、参加したいけど住民票がない人は自ら「申し込み」をする必要があるということがほとんどです。 主催側にとっては、配布物や記念品の準備などの都合があるため人数を把握したいことや、冊子等に成人者名簿を掲載する場合の情報も住民票ベースのため、原稿締め切り前までに申し込みした人の名前が欲しいという事情があります。

 もちろん記念品などは予め申し込み人数を想定して多めに用意しているケースが多いと思いますが、それでも想定以上に急な参加が増えると対応しきれず、場合によっては後で郵送したり参加自体をお断りせざるを得ないケースも出てきてしまうことでしょう。また、出席予定者に対する出席率を算出するなどさまざまな数字の源泉としているため、できるだけ人数が欲しいということもあるでしょうし、さらには、入場をスムースにするために案内状を入場整理券として使うところが多く、事前に郵送で案内状を送付することが基本となっているため、出来る限り事前申し込みをして欲しいということです。

 申込期限を過ぎた場合はどうするか、ということですが、ここは自治体により取り扱いは異なります。 当日直接会場に来ても配布物はないが入場が可能といったケースもありますが、取り扱いは自治体によって異なりますので、いずれにしても事前に一度問い合わせ窓口まで確認することが、成人の仲間入りをし社会人として生きるための「マナーの第一歩」なのではないでしょうか。 具体的な申し込みは主催の各市区町村のホームページ等で公開されていることが増えていますので、一度検索して調べてみると良いでしょう。

■自ら申し込みを行う必要があるところも

 主催は各市区町村や合併前の町村や学区単位であることがほとんどですが、諸事情により中には自治体主催の成人式が行われず、住民票があっても各自で申し込みしなければならないところが存在します。

 簡単に調査した限りでは、愛知県犬山市がこのケースに該当します。犬山市では自治体主催の成人式が行われておらず、該当年の新成人らが自ら企画したパーティー形式の成人式が行われています。そのため、申し込みを自ら行い、さらには参加費を支払うようになっているそうです。

■保護者が参加できるかどうかは主催者次第

 新成人の保護者が出席できる・できないについても疑問があるのではないでしょうか。こちらは、主催者によって対応が別れていて、出席可能となっているケースは少数派です。成人式の主役は新成人で会場の制約(消防法定員等)の関係も含め入場自体ができないケースが大半でしょう。

 しかし、会場内の余裕を活用して家族席を設けるなどの対応を行っている自治体も増えてきています。具体的に席を設けていることと、そのことを広く告知しているかどうかはまだ対応が別れているところですので、案内状にはあってもホームページには掲載がないケースもあります。さらには保護者以外の一般の方の参加についてはさらに少数派となっています。

 保護者や一般の参加が可能な成人式を、国内唯一のコンテストを主催する成人式研究会では「公開成人式」と呼んでいますが、徐々に広がりつつあるものの、まだ全体としては少ないのが実情のようです。

 いずれにせよ、主催者によって対応が別れている部分ですので、気になる方や新成人のお子さんを会場に送り届け終了後に迎えに行くまでの時間を会場で過ごしたいという方は、一度主催者に問い合わせてみると良いでしょう。

■男性はスーツ、女性は振り袖という条件はない

 服装についても、よく男性はスーツや和装、女性は振り袖(着物)というイメージがあるかもしれませんが、決してそのような取り決めはどこにもありません。現在の成人式の起源から、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日であり、ハレの日として晴れ着で参加する人が多いというだけです。

 成人式は主催側のスタッフとして毎年手伝っている筆者ですが、女性でもスーツで参加する人をときどき見かけます。行く気はなかったけど急に行ってみたくなったときは、成人の仲間入りをする者として恥ずかしくないTPOを考慮した服装であれば良いでしょう。たとえば就活スーツでも問題ありませんし、経済状況などからこれらはもっていない……という場合には、せめてもの気持ちだけでも普段より少しよそ行きな服装を心がけるだけでも充分かと思われます。要は「大人として参加したい」という気持ちが一番大切です。

■子連れでも参加できるが託児所や授乳室は主催者によって対応が異なる

 成人式時点で既に「子どもがいる」、という方もいると思います。子連れでの参加自体は可能ですが、大半はまだ未婚の方が多く、厳粛な式の中での子どもの泣き声等を気にして参加を遠慮してしまうことがあるかもしれません。

 子連れ参加については、主催者によってやはり対応は違うのですが、託児所や託児室を設けているケースもありますので一度主催者に問い合わせてみると良いでしょう。また授乳中の方の授乳室ですが、会場内に該当する部屋はまず間違いなくあります。ない場合でも相談すれば快く部屋を割り当ててもらえるケースが多いと思いますので、こちらも相談してみると良いでしょう。一生に一度のことです。諦めないでください。

 今回は成人式の参加条件や申し込みのことをご紹介しましたが、最後に「今年新成人になられるみなさん、おめでとうございます。」の言葉も送りたいと思います。
まだ参加を迷っている方は、この一生に一度しかない成人式に地元でも現在住まれている場所でも良いので経験のひとつとして参加してみてはいかがでしょうか。運営する私たちは半年近く前からこのために動いています。一人でも多くの新成人に来ていただけること、心から願っていますよ。

(石川博之)