漫画家・森薫さんへの愛が止まらなさすぎて、森さんの作品『乙嫁語り』に登場するアミルの衣装を約6年かけ、作中と同じく刺繍部分は全て手仕事で作ってしまったというコスプレイヤーの祭さん(@maturiiiiin)。

【関連:刺繍は全て手仕事!約6年かかった『乙嫁語り』アミル衣装ついに完成】

祭さんより。モンゴルロケ

これまで編集部では制作途中の段階から衣装の完成まで紹介してきましたが、2015年5月頃に祭さんから「2016年冬のコミックマーケットをめざし写真集の制作を計画している」と次の予定を伺っていました。

それからまる一年……。彼女の行動をひたすらに見守り続けておりましたが、ようやく「海外ロケ」が終了したとの連絡が!個人Twitterでもその様子が報告され、早速ネットを賑わせています。

さて、ここまで書いて既にお気づきかと思いますが、祭さん。とにかく森薫さん愛・乙嫁愛がすさまじすぎて、色んなことに時間と手間と自分の財布をかけています。

■衣装の刺繍は全て手仕事!約6年かけ制作

アミル衣装は中断約3年を挟みますが、約6年にわたって制作されています。

制作途中のアミル衣装

作品に合う刺繍糸や布がなければ自分で染め、漫画に描かれていない服の部位があれば大量の資料を取り寄せ研究して代案の刺繍図案をほどこし……さらに漫画と同じブーツがなければ似た物が売られているという情報だけを頼りにモンゴルまで仕入れの旅へ。
アクセサリーもイメージに合うものがなければ自分で制作。とにかく徹底して拘る方なのです。

編集部でも長い目で彼女の動きを見守っていますが、結論からいうと祭さんは「コスプレイヤー」ではなく、もはや「研究家」といっても過言ではないと思っています。

■同人誌のために研究家も協力

そんな祭さんから「同人写真集を作ります!」と伺ったのが去年の5月頃。
最初は国内で乗馬撮影をするという話だったのでてっきり国内で全て完結させるものと思っていたのですが……。気づけばすぐ5月にロケのためにウズベキスタンに行っていました。

ウズベキスタンロケ

現地では古民家を利用した撮影スタジオや工芸博物館それぞれで許可を得て『乙嫁語り』の世界を再現。
ちなみにこの時のカメラマンは、中央アジアの研究家が集まる会合で知り合った先生方の協力で現地カメラマンを手配できたそうです。
彼女の行動はこれまでネットで散々話題になっていますので、研究家の方から最近ではお誘いがあるとのこと。そういう縁が一つ一つ繋がって、無謀とも思える海外撮影を成功させているのです。

■ロケーションに拘りを2度目の海外ロケを実行

そして今ネットを騒がせているのが、2度目の海外ロケ。5年前のブーツと弓を探す旅以来となるモンゴルでの撮影となっています。今回のカメラマンは国内撮影にも協力しているフリーカメラマンのYU-SUKEさん(@airmaker)が同行。

完成度高すぎな『乙嫁語り』アミルコスプレイヤー

乙嫁語りというと設定が中央アジアなので、モンゴルだと違うじゃん!と思われる方もいるかもしれませんが、乙嫁の世界はユーラシアのさまざまな国や地域の文化をうまく取り入れ紹介されています。勿論それにはモンゴルも含まれるので実は「違う」というわけではないのです。 それに今回の撮影は「遊牧風景」や「騎射撮影」がメインとなっているのでモンゴルがちょうど条件的にも良かったみたいですね。祭さんも「羊の遊牧を撮りたい・カメラマンさんも一緒だからなるべく近く・シュトヘルも一緒に撮りたい」とロケ地決定の意図をコメントしています。

話題の写真では、乙嫁作中そのままの草原の中、祭さん得意の乗馬の技術を生かし馬を華麗に乗りこなしています。まるでアミルが漫画からそのまま飛び出てきたような。Twitterの投稿には「もうコスプレの域超えてますな」「漫画を読みたくなった」「完成度高い、そして、美しいです。」といった声が多数よせられていました。

ちなみに祭さんは、乙嫁に関する旅だけでも2011年モンゴル(ブーツ/弓を買出し)、2014年ウズベキスタン(中央アジア欲を満たしに)、2015年ウズベキスタン(ロケ)、2016年モンゴル(ロケ)とこの5年ほどで4回行っています。
これまでの旅は祭さんのブログ「生存確認 ろぐ」にまとめられているので、気になる方はぜひご一読を。食べ物が多く登場するので、空腹時に読むのは注意してください!

大鍋で作るプロフ

■作品愛の集大成「同人写真集」ついに完成!?

今後は冬の同人誌頒布へ向け写真を組んでみて足りないものがあれば国内で撮影し、さらにこれまで4回の旅で撮影してきた現地の食情報や旅・撮影に関するレポートなど「乙嫁愛てんこ盛り」となる予定だそうですよ。

現地の建物や文化についてはブログの旅レポートでも紹介されていますが、それに加えて新しい写真や情報も多数盛り込まれるようです。

貴重なアンティークの絨毯やキリムに囲まれて撮影

頒布は2016年冬のコミックマーケットを予定。参加サークル名などについては決まり次第Twitter他で紹介されます。

衣装着手から同人誌完成まで足かけ約7年。すごいですね。有言実行の祭さんなので冬にはちゃんと同人誌を完成させるとは思いますが、一つきがかりなことが。

同人誌編集途中で祭さんが何かに拘り出さないかということ。気になることがあると、とことんやり出すので、もし気になることがあれば……。

▼協力
祭さん(@maturiiiiin
フリーカメラマン・YU-SUKEさん(@airmaker