何が横浜のソウルフードなのか、議論の余地のあるところではある。

だがしかし、やはりココにトドメをさすのではないか。
「シウマイ弁当」

【関連:ブルートレイン終焉に想う】

シウマイ弁当

黄色い包み紙のアレである。横浜駅付近だけで、14軒も売店がある。今や横浜を出て、東京駅や海浜幕張にまで進出している。崎陽軒の一番人気はシウマイに譲るかもしれないが、弁当の中ではシウマイ弁当が圧倒的な数で売られている。
横浜駅で駅弁を買って乗り込むような列車は、「踊り子」くらいしか残されていない。長距離客はみな新幹線だろう。しかしシウマイ弁当は、駅弁を車内で食べる見込みがほぼない京浜東北線ホームや京浜急行ホーム、相鉄構内などでも販売されている。

これは、「買って帰って家で食べる」需要のためであろうことが容易に想像できる。今日の晩御飯はシウマイ弁当、ということだ。
シウマイ弁当の中身は、ゴマのかかったご飯が全体の半分を占め、シウマイ、筍の煮物、かまぼこ、鶏の唐揚げ、マグロの照り焼き、玉子焼き、昆布の佃煮、切り生姜、干しあんずが入っている(かつては玉子焼きのかわりにハスのきんぴらが入っていたりした)。値段(800円)を考えると、結構なバリエーションのあるおかずであると言える。昨今の駅弁は1000円超えは普通で、それらに比べるとお得感かつお手頃感も高い。
かくいう我が家もシウマイ弁当は手抜き晩御飯の日には欠かせない一品である。これさえあれば晩御飯として成り立つ。足らなそうならシウマイを一箱追加で(アドオンシウマイと呼んでいる)。

さて実はシウマイ弁当は2種類の梱包がある。横浜を中心売られている、紙掛け+紐結びというクラシカルなものと、東京駅を中心に売られている箱タイプのものである。厳密な食べ比べをしていないので味の違いまではわからないが、箱タイプは東京工場のものだ。便利なのだが、やはりシウマイ弁当というと紐掛けのほうがいい。今時、こんな梱包を続けている駅弁もそう多くはないのではないかと思われる。

思えばいままでいったいいくつのシウマイ弁当を食べてきただろう……旅行に出張に晩飯にナイター観戦にと、思い出すシーンは枚挙にいとまがない。
これからも横浜庶民に愛される存在で在り続けて欲しい。

(文:エドガー)