今回の「うちの本棚」は、番外編として5月1日公開『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』をご紹介いたします。実写版『パトレイバー』シリーズの到達点でもある本作。リアルな映像とストーリーを堪能してほしいと思います。

【関連:警視庁の非公認VSお荷物、獣娘が特車二課を急襲】

パトレイバー 首都決戦

監督・脚本/押井 守
キャスト/筧 利夫、真野恵理菜、福士誠治、太田莉菜、堀本能礼、田尻茂一、しおつかこうへい、藤木義勝、千葉 繁、森カンナ、吉田鋼太郎、高島礼子、ほか。
2015年/94分/日本

 2014年4月から上映が開始された、実写版『パトレイバー』の到達点として、本作長編劇場作品『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』はある。

 ストーリーは劇場版アニメ『パトレイバー2』の後日談となっていて、東京を舞台としたテロに特車二課のメンバーたちが立ち向かっていく姿を描いている。…というよりもアニメ版『パトレイバー2』を実写にしたといった方がわかりやすいだろうか。
設定上はアニメ版の主要キャラクターたちの跡を継いだメンバーで構成されいるわけだが、性格的にはアニメ版のキャラクターを当てはめたものになっており、アニメ・コミックをそのまま実写にしたということではないのだが、事実上キャラクターのイメージは同じとなっている。
その代表的な例が筧 利夫が演じる隊長の後藤田だろう。前任である後藤警部補の後輩という設定だが、容貌も性格も後藤をイメージしている。

 また今回の作品では、顔ははっきりとは映されないものの、南雲しのぶが登場している。もちろん声は榊原良子だ。これはアニメ版のファンにも嬉しい演出だろう。と共に、この実写版がアニメ版から続いているものだということを印象づけてもいる。

 今回実写版オリジナルのキャラクターとして登場しているのは、高島礼子が演じる公安の女性警部補。登場直後は『パトレイバー』の世界観に高島礼子が似合うのか多少不安な気持ちになったのだが、観終わってみれば高島礼子抜きには語れない作品と言っても過言ではないほど、高島の存在感は大きい。役どころとしては、表立って動けない公安から、特車二課を上手く使う「ずるい女」というところなのだが、アクションシーンも様になっており、『攻殻機動隊』の素子がもう少し年齢があがったような印象すらある。あるいは押井監督にもそういうイメージがあったのかもしれない。

 アニメ版『パトレイバー2』がそうであったように、今回の作品でもレイバー自体の活躍は終盤のみである。実写版のレイバーの活躍を期待していると、ちょっと残念な気持ちになるかもしれない。しかし、見せ場はあるのでじっくりと鑑賞していただきたい。
実写版『パトレイバー』シリーズも、これで完結ということになるわけだが、テロリスト側として登場し、その正体が不明なまま姿を消した灰原 零というキャラクターもいて、そこはかとなく続編の予感もある。とはいえ、まずは本作を堪能していただきたい。

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/