居村真二の『惑星大戦争』実写作品のコミカライズ作品を紹介している「うちの本棚」、今回は居村真二の『惑星大戦争』です。

東宝が『海底軍艦』の宇宙版リメイクとして制作した劇場映画のコミカライズ作品で、SFコミックに定評のある居村真二が作画を担当。短いページ数ながらすっきりとまとめ、コマ割りや構図で迫力のある画面を描きあげています。

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惑星大戦争・扉


本作は東宝制作の劇場映画『惑星大戦争』のコミカライズ作品である。基本的に『スターウォーズ』などのSF映画ブームに便乗する形で、内容的には『海底軍艦』の宇宙版リメイクとなっている。主演は森田健作と浅野ゆう子。
コミカライズは居村真二が担当。「ウルトラシリーズ」のコミカライズのほか、オリジナルの作品などSFモノには定評のある居村だけに、25ページという短編でうまくまとめている。轟天号などメカの描写もシャープなタッチで、原作映画よりカッコよく描かれている印象がある。

前述した通り少ないページ数で劇場映画をコミカライズしているので、余裕のあるページ数であれば見せ場で見開きなども使いたいところだったろうが、1ページ大の大ゴマもなく、詰め込んだ印象が強い。ストーリー展開もスピーディといえばそれまでだが、展開を急いでいる感は否めない。とはいえ実力派の居村だけに一気に読める良質なSF短編に仕上がっている。
改めて読んでみると、コマ割りのうまさ、メカ登場シーンの構図の取り方など、職人的な技術の高さが感じられる。

映画の方はあまり評判がよくないようだが、コミカライズ版の方は機会があればぜひ読んでいただきたい作品である。

初出/講談社「月刊少年マガジン」(昭和53年1月号)

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/