【レトロ少女漫画を語る】第4回 学園トレンディドラマ『フリーザーより愛をこめて』今回語るのは、藤村真理先生の『フリーザーより愛をこめて』です。タイトルがまず良いですよね。『ドラゴンボール』のフリーザ様と間違えないようにしてください。


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これは、優等生の佐田ちゃんが、高校の好きなクラスメイトの古手川くんに手作りケーキをプレゼントしようとするのですが、毎年、渡すことができず、ケーキは冷蔵庫(フリーザー)送りになっていました。今年こそは、古手川くんに手作りケーキをプレゼントすることができるのか? という純愛のストーリィです。

バブル絶頂から崩壊に向けての時期に描かれているので、トレンディドラマのような服装や、髪型や、小道具や、カット割りや、豪華な社会背景の話になっています。そして、70年代や80年代のようなスクリーントーンを多用しないアート性が感じられるような絵や構図は少なくなっています。構図的には人物の顔のアップが印象的な使われ方をしており、効果的です。ヒロインも、今は珍しい、おとなしい女の子です。男の子も、無口で、『スラムダンク』の流川タイプです。水泳部のホープです。

特筆すべきは、ヒロインの佐田ちゃんの可愛さでしょう。アラレちゃんタイプの大きな四角いめがねをかけていて、ショートヘアーで、勉強が出来る。なんと、来年度の交換留学生に決まっている程です。なんとなく『美少女戦士セーラームーン』の水野亜美と印象が重なります。アイドルだと小泉今日子でしょうか。

この佐田ちゃんが、古手川くんに近づくために思い切って、泳げないのに水泳部に入ってしまいます。
当然、山あり谷あり、紆余曲折な展開が待ち構えています。
続きは、ぜひ、コミックを読まれてください。

メガネを外した佐田ちゃんにリボンを巻いている表紙も、ストーリィと合っていて、とても可愛いです。今ではこういう一途な純愛というのは珍しいかもしれません。おすすめのシーンは、複線があって、古手川くんに無事にプレゼントを渡せるかどうかのところですね。

書 名/フリーザーより愛をこめて
著者名/藤村真理
出版元/集英社
定 価/390円
初版発行日/1991年5月29日

(文:川上竜之介)