“和製ジャッキー・チェン”が躍動する『猿飛三世』に、時代劇の新境地を見た!『水戸黄門』の終了以来、大河ドラマをのぞき、テレビから連続時代劇が姿を消して久しくなります。

「視聴者の高齢化」「スタッフ不足」「コストがかかる」などもっともな“ウケない理由”が語られていますが、最大の理由は「魅力あるコンテンツ(物語、キャラクター)に乏しいこと」でしょう。


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もっとも、時代・歴史小説は変わらず盛況ですし、映画ではまだ時代ものも生き残っていますから、テレビ時代劇の場合はとりわけコスト面で敬遠されているようです。

ですが、この秋の新ドラマからは、時代劇復興の兆しを感じ取ることができます。BSで好評だったNHK『薄桜記』、人気コミックが原作のTBS『大奥』など、新機軸を狙った作品が揃いました。
時代劇ニューウェーブの筆頭といえるのが、BSプレミアムの『猿飛三世』。NHKらしいていねいな作り、そしてオリジナリティーとアイデアにあふれた会心作です。

まずキャスティングの時点で、ドラマの成功を予感させられます。主人公である猿飛佐助役に、伊藤淳史。佐助が慕う姫の父親役に、堺正章。物語の鍵を握る謎の商人役に、柳葉敏郎。
…よくこれだけ「猿」イメージ(失礼!)の役者さんを揃えたな!という点にまず感心です。実際、伊藤も堺も新旧の『西遊記』に出ていますし(伊藤は猪八戒役でしたが)。濃い顔ばかり集めて大成功した映画『テルマエ・ロマエ』に匹敵するキャスティングの妙にうならされます。

NHKで行われた記者会見より。伊藤・水川が「夏の京都の撮影は過酷だった」と口をそろえる
【写真:NHKで行われた記者会見より】

そして、アクションがハリウッド風味というところも、若い視聴者の目を引くポイントかと思います。伊藤の「猿」アクションは、どちらかというと香港映画、ジャッキー・チェンを彷彿させますが、いずれにせよ従来のチャンバラの殺陣とは一線を画す、ダイナミックな体術が見どころとなっています。
初回から、佐助と姫(水川あさみ)が吊り橋から宙吊りになる場面など、番組ロゴの元ネタ?である『ミッション・インポッシブル』さながらのハイパーテンス・アクションぶり。「今までにない時代劇を作ろうということで、生傷の絶えない激しい現場になりました」(城谷厚司チーフプロデューサー)との言葉にもうなずけます。

サル顔の役者陣による、野性味あふれるアクション。時代劇を敬遠してきた人にこそ見てほしい痛快作です。

【BS時代劇『猿飛三世』】
NHKBSプレミアム 毎週金夜8:00~8:45 初回放送済

(文・写真:青木ポンチ)

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