2012.01.18
【うちの本棚】第九十九回 Sπ(エスパイ)/石森章太郎
「うちの本棚」、今回は石森章太郎の『Sπ(エスパイ)』をご紹介いたします。メインタイトルで単行本されたほか、他の単行本にも併録されることもあった本作。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
小松左京に、映画化もされた『エスパイ』というSF小説があるが、本作とは無関係。
タイトルから超能力を駆使してのスパイものという印象も受けるが、さにあらず。新発明・珍発明の武器でロボットスパイ組織「マッドマシン」と対決する「πナップル日本支部」の00五郎、00八郎、00ナナ子が主人公である。
内容は特にコミカルなものではないが、各話のページ数が多くないことから気楽に読めるような軽いものになっている。「πナップル日本支部」は、どうやら東京都練馬区、石森邸の近所にあるらしい。
本作はこの虫コミックス版でメインタイトルとして刊行されたほか、双葉社のパワァコミックス『フラッシュZ』第2巻にも収録されるなどしている。
『ドクターSF』はタイムトラベルをからめたある種の侵略SFもの。2話あるが同じ設定のストーリーをリメイクしている。かなり変えてあるので連続して読んでも飽きることはない。
『時間局員(タイムパトロール)R』はタイトル通りの時間をテーマにしたSF作品。本書に収録されたものの中では一番シリアスな作風でもある。
本書は石森章太郎のSF作品を集めたという印象であるが、もうひとつ初出誌という点でも共通した作品群である。
『Sπ(エスパイ)』中一時代・昭和42年4月号~8月号
『ドクターSF』中二時代・昭和40年4月号~41年3月号
『時間局員R』中一時代・昭和41年4月号~42年3月号
このように旺文社の学年誌に連載された作品群ということがわかる(ちなみに『Sπ』は中一時代のほかに「ビクトリー」誌昭和42年7月号~12月号という連載記録もある)。
一般的な少年マンガ誌が、小学生を含めた読者を対象にしていたのと違って、特定の年代(この場合中学生)を対象読者にしていた点で、ちょっと大人な設定やセリフまわしがあってもよかったと思うが、本書に収録された作品を見る限り、少年マンガ誌に掲載された作品よりも分かりやすく読みやすい内容を、と考えていたようだ。基本的に「学習誌」というカテゴリーに入る掲載誌だったことで、気分転換になるようなものを目指したのかもしれない。
書 名/Sπ(エスパイ)
著者名/石森章太郎
出版元/虫プロ商事
判 型/新書判
定 価/240円
シリーズ名/虫コミックス
初版発行日/昭和43年6月25日
収録作品/Sπ(エスパイ)・全5話、ドクターSF・全2話、時間局員R・全3話、解説・尾崎秀樹
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)
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